ホンマタカシ写真集「東京郊外 TOKYO SUBURBIA」をアプリで読む iPad Miniで
 
江國香織「東京タワー」の文庫の表紙の写真がとても惹かれるという話を以前の記事で書いたけれど、これを撮影したのはホンマタカシさんという写真家。

この人のことを調べると子供の写真もいくつか撮っていて、その子供の表情などとても気になっていた。
子役タレントのようにきらきらし顔をしていなくて特別でも何でもない郊外の都市環境にいるごく普通の子供。特によそいきじゃなくてどこにでもありそうな日常の取るに足らない情景の中にいる子供。
でも私は子役のように作られたものではない、強さみたいなものを感じた。目から何かを訴えてくる。
「ありふれた」「どこにでもいる」という形容なのだけれど、どこにでもいそうだから他人事にはできなくて自分自身の心に食い込んでくる。ハッとさせられる写真。
川島小鳥さんの未来ちゃんが彼女のキャラクターによって成功しているのとは対極で、ホンマさんが撮る子供一人ひとりに何か特別はない。でもそれが却ってリアリティをもって何かを考えさせられる。

代表作である「東京郊外 TOKYO SUBURBIA」という写真集も読んでみたいと思っていた。
しかしコレクター価格になっていて、とても手に入るものではない。木村伊兵衛写真賞受賞作とはいえ中古で2万って。。。。

でも読みたいなとずっと思っていたら、なんとiTunesのアプリで読めるらしい!800円。写真集は紙で読みたいところだけれど、どんな作品が収録されているのかは把握できるし購入してみた。

非現実的な感じもするけれど、でもリアリティがあって日常を感じさせてくれる写真たちだった。
私もニュータウン育ちだけれど、確かに日本の郊外やニュータウンって他の国にはない不思議な雰囲気がある。
どこか「生」を感じさせない日本の郊外ニュータウン。団地とかも海外のものとは全然違うし、一戸建てが整然と並んだニュータウンも作り物のようでもある。
でもそこにそれぞれの暮らしがある。そこで大きくなっている子供達。この子たちがカメラ目線でも決して笑顔じゃないのがまた色々考えさせられる。

社会学者の宮台さんの解説がとても興味深かった。
日本の郊外ニュータウンというのはどこも似たような情景で、どれを見ても「これうちのニュータウンじゃないか」と思ってしまうとのこと。確かに!
そんな「匿名性」のある名前のない世界で子供達は自分の居場所を見つけいく。それが私が感じた子供たちの強さの正体かなと感じた。

郊外のニュータウンの象徴というと酒鬼薔薇聖斗を思い出すけれど、彼は悪い方向に出てしまったけれど、大多数の子供はその世界で楽しさや悲しさ色んなことを感じながら成長していく。そんなリアリティを感じたのかもしれない。

1ページめくりたいのに一気にめくれてしまったりちょっと操作性は悪いけれど、色々考えさせられた。

ただ「きれい」「かわいい」という見た目で写真を撮っていること多いなと反省。誰かに共感されたいと思うならば、何が表現したいかってことが重要なんだと改めて思った。
簡単なことではないけど、ちょっとずつ意識を高めていきたいな。

 

※suburbia 意味は、郊外居住者、2郊外風の生活様式だそうです。